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お母さんの中には『母を生きる私』と『自分らしく生きたい私』がいます

「子育てに追われるように日々を送っていると、心の奥で『私はどこにいるの?』というささやきが聞こえてくる気がします。独身の頃、毎日が輝いて充実していたことを思うと、最近では子どもたちの世話をしていても、何か上の空です。母親として私は失格でしょうか?」と、2人の子どもを育てているお母さんの相談です。
子どもが幼稚園や小学校に通うようになると、少しずつ自分の時間が取れるようになります。また、ほとんどのお母さんは勤務体験を持っていますから、子育てに翻弄されている自分にふと気付くと、自分の人生ではないかのような、何かしら不安な気分になるのは当然かもしれません。
妊娠・出産・子育ては、『生かし続けたい私』『母を生きる私』が持つ、人間という種、自分の生命をつなぎ続けたいという本能的な衝動です。それに対して『生き続けたい私』『自分らしく生きたい私』は、お母さんに限らず誰もが持っている思いでしょう。今の子どもたちはみんな、育てられる過程で生きがい教育的に「自分らしく生きなさい」と言われ続けています。「いいお母さんになりなさい」と育てられた子どもはいませんよね。ですから、人生を送るのに「自分らしく生きたい」というアイデンティティーを大事にしたい欲求を持つのは当たり前です。どちらの私も満足しないと、生きていることへの納得が難しいものでしょう。
アドバイスとして、「母親失格なんて自分を責める必要は少しもありません。子育てに励んでいる間も、子育てが終わったら何をしようかなと、夢を膨らませることを忘れないこと。今の気持ちを否定するのではなく、大事に持ち続けるといいですよ」とお伝えしました。自分がいけないと思っていたこの方は、少し安心したようでした。
女性は子どもができると、『母を生きる私』と『私を生きる私』がこころの中にいつも同居するようになります。しかし本来は、お母さんであり妻である前に、女であって人間です。母親は皆、この二つのバランスの中で生きています。普段の生活の中で「私を愛して」「自分を大切にしたい」という部分をチラッチラッと見せることはあるものの、そこで「アンタはお母さんでしょ」「(子どものために)我慢しなさい」などと言って母親の気持ちを潰してしまうことが、しばしばあるのではないでしょうか。私も今になって、何と自分は鈍感だったことか、ひどい仕打ちをしてしまった、と申し訳なく思っています。
『母を生きる』ことは、迷わず子どもと一緒に日々を楽しみ、自分の知恵を子どもに伝えることでしょう。それは子どもに、未来社会で『なりたい自分』になろうとする勇気を育みます。また『私を生きる』ことは、「何かをしたい」とふつふつと湧き上がってくる想いを潰さないで、その想いを満たすためにできる行動は何かを前向きに考え、リストアップし、実行していくことです。このようなお母さんの行動は、ものごころが付いてからの子どもの憧れの対象になります。自分の意識の視点をどこに置いているのかを見ながら生活すると、少しは肩の力が抜けるかもしれませんね。そして、自分を責めたくなったら、その理由を全部挙げて「それでいいのだ!!」と、自分にしっかり語り掛けましょう。まず自己受容することで、きっと次のステップが見えてきます。
 山縣威日著『だいじょうぶ!子どもは育つ』より

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